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2003.03.20「住宅特集」
 
バリアフリー/体が不自由でも快適な暮らしを 

踏み面を広くし、こう配を緩やかにした階段


敷車いすでも利用できるようにスロープを設けた玄関スペース

敷転倒の原因になる廊下との段差をなくした和室
  危険個所へ多彩な工夫
 家族全員が安全で快適に過ごせるよう、生活上の障害や身近な危険を取り除いたバリアフリー住宅。高齢化の進展などに伴って、バリアフリーへの関心はますます高まっている。床などの段差の解消や手すりなど安全な暮らしのために、各住宅メーカーはさまざまな提案をしている。
 トイレや脱衣所での急激な温度変化で起きる心臓まひや脳卒中、ぬれた浴室や床の段差に足をとられての転倒、階段からの転落事故―。厚生省の「人口動態統計」によると、65歳以上の家庭内での死亡事故は5000人以上。体力や運動機能、視力、聴力などの感覚機能が低下している高齢者や障害者、幼い子供にとっては家庭内にも思わぬ危険が潜んでいる。このような危険や障害をなくすのがバリアフリー化だ。
 現在はほとんどの住宅メーカーが、住宅金融公庫が金利を優遇する基準である▽フロアの段差解消▽廊下や部屋の出入り口などの通行幅の確保▽こう配の緩やかな階段▽浴室や階段への手すり設置―といった条件をクリアする住宅を販売している。
 「バリアフリーを単に段差のない家と考える人がまだ多い。本当のバリアフリーの家とは、体が不自由になっても快適に暮らせる家のこと」と語るのは、大和ハウス工業秋田支店(秋田市)。
 同支店では一部を除き、各室に開口幅が大きく、開け閉めの際にスペースをとったり、ぶつかってけがをすることのない引き戸を使用。また、アプローチや玄関内にスロープを設けたり、浴室やトイレの暖房、いったん脇に腰掛けてから浴槽に入るスペースを確保したバスシステム―などのバリアフリー設備を提案している。
 視力の低下は、足元灯や玄関付近に設けたポーチ灯などでカバー。照明のスイッチも大きくて押しやすいタイプを勧めている。
 また、足腰の衰えには手すりを設けるほか、段差をつくらないこと、床やタイルに滑りにくい素材を使うことで転倒を防止。転落事故が起きやすい階段も各段のスペースを広めにし、高さは低めに設定している。
 東日本ハウス秋田支店(秋田市)はバリアフリーに関連して、住宅建築に使われている尺貫法を見直し、メーターモジュールを導入、家づくりの単位を3尺(91センチ)から1メートルとした。ドアや階段、トイレなどの幅が広がることで、手すりを設置しても余裕ができる。
 尺モジュールでは、廊下に手すりを設置すると、車いす利用者が移動しにくいなどの問題があった。廊下のほか、建具幅も一回り大きくすることで、車いすでの移動が格段にスムーズになる。同支店では「段差を無くすだけでなく、空間を広げることもバリアフリーの重要な要素」と話している。
オール電化住宅/「安全でクリーン」 


冬を暖かく過ごすための蓄熱式電気暖房器。夜間に熱を蓄え、日中に放熱する


オール電化住宅のキッチン。火を使わないため火災の危険性が低い

  性能向上し急速に普及
 冷暖房や調理、給湯まですべて電気を使うオール電化住宅の特長は、安全性とクリーンさ。登場した約15年前は、高気密・高断熱住宅が普及していなかったのがネックとなっていたが、住宅性能の向上に伴って、効率的に暖房できるようになったことから急速に普及。若い世代から高齢者まで幅広い年代の人たちが導入している。
 東北電力秋田支店によると、県内のオール電化住宅は平成4年ごろから右肩上がりの状況が続いている。13年度までの県内のオール電化戸数は3857戸で、このうち4年度以降に建てられたものが3564戸と大半を占める。
 蓄熱式電気暖房器とIHクッキングヒーター、電気温水器を使うことで、住宅内で一切火を使わずに生活することができる。同支店では長所として▽火を使わないため、火災の危険性が低い▽燃焼ガスが出ないため空気がきれい―などを挙げる。
 このほか、全館暖房にすることで屋内の温度差が少なくなるため▽浴室やトイレなどでヒートショック(急激な温度差が体に及ぼす影響)の危険がなくなる▽結露が発生せず、住宅が長持ちする▽アトピーなどの病気を引き起こすカビやダニの発生も防げる―などの利点もある。
 生活の熱源をすべて電気で賄うとなると、気になるのが電気料金。時間帯別電灯契約により蓄熱式電気暖房器や電気温水器は、日中に比べ、割安な夜間電力を使用するため、月々の支払いの平均は1万6000円ほどとなっている。
 IHクッキングヒーターや電気温水器の性能も年々向上し、すべての金属素材のなべが使えるタイプや高齢者でも使いやすいようダイヤルで火力を調整できるように工夫したタイプが登場。電気温水器には追いだき機能が付いたものもあり、来客の際も湯切れの心配はほとんどない。
 一方、冬でも暖かく、快適に暮らすためには高気密・高断熱住宅の施工が必要になる。高気密・高断熱住宅では断熱材を壁、床、天井に入れるなど、家全体を魔法瓶のような仕様にして、熱を逃さない構造にしている。そうすることで、少ない熱エネルギーでも十分な暖かさを確保することができる。
 このため、建築コストが高いとされてきたオール電化住宅だが、同支店では「火を使わないので家自体や暖房機器などの耐用年数が長くなり、メンテナンスも少なくて済む。また、主に料金の安い深夜電力を利用するので、総合的に見れば一般住宅と変わらない」と話している。